研究概要 |
W/Oマイクロエマルション滴の滴内疎水性・滴の形状・敵のダイナミクスを実験的に明らかにし,それらの物性がPLA_2のフォールディング状態や反応活性に与える影響に関して,定量的に検討した.それらの知見に基づいて,PLA_2のimprinting immobilizationの基本モデルを構築した. 両親媒性成分はリン脂質を用いた.イソオクタン(C_8^*)を主溶媒とし,直鎖型アルコール類(1-butanol;C_4,1-pentanol;C_5,1-hexanol;C_6,1-octanol;C_8)を補助溶媒として有機相を調製した. 疎水性応答プローブであるクマリン343の蛍光波長解析によって検討したW/Oマイクロエマルション滴の滴内疎水性は,系内に可溶化している水分量(W≡[H_2O-mol]/[PC-mol])の増加に伴って徐々に親水的になった.また,W>10においては,滴内はバルクの水相と同じ親水性となることが明らかとなった.成果は,化学工学会第37回秋季大会(2005年,岡山,D216)において公表した. 動的光散乱法によって求められたW/Oエマルション滴の直径は,W値の0.33乗に比例して増大することが明らかとなった.この傾向は,補助溶媒の種類に拘わらず常に一定であった.また,この相関から,リン脂質を用いたW/Oマイクロエマルション系においても,球状の滴が調製可能であることが明らかとなった.成果は,Colloid Surfaces A ; Physicochem.Eng.Aspectsに投稿した. 電気伝導度測定と蛍光偏向解消度測定によって検討されたW/Oマイクロエマルション滴のダイナミクスは,W値の増加に伴って滴間相互作用が強くなり,滴のダイナミクスが低下することが明らかとなった.成果は,Conference Proceedings(7^<th> World Congress on Chemical Engineering,2005,July 10-14,UK, P44-022)において公表した. 蛍光分析とCDスペクトル測定によって検討されたPLA_2の高次構造は,W値の増加によってフォールディングされることが明らかとなった。PLA_2の反応活性は,W値の増加に伴って上昇したことより,高反応活性を呈するPLA_2のフォールディング状態を明らかにした.
|