MAP200は真核生物全般に広く保存されているXMAP215/Dis1 familyに属しており、細胞内における微小管構造物の構築に必須な因子である事が知られている。XMAP215/Dis1 familyに属するタンパク質は微小管の重合・脱重合(微小管の動的不安定性)を積極的に制御することによって、その機能を発揮していると考えられている。しかしながらその動的不安定性を制御する機構については詳しい解析はされていない。 そこで私はXMAP215/Dis1 familyタンパク質の微小管動的不安定性制御機構を明らかにするために、タバコ培養細胞BY-2から精製したMAP200を用いて様々な解析を行った。まず、MAP200が微小管の動的不安定性に対してどのような影響を及ぼすかを調べた。その結果、MAP200は微小管のプラス端において動的不安定性の全てのパラメータ(重合速度・脱重合速度・カタストロフの頻度・レスキューの頻度)を増加させることを明らかにした。 MAP200は複数のtubulin dimerと結合し、complexを形成する。またこのcomplexはGDP-tubulinでも形成されることを報告している。そこでMAP200の微小管動的不安定性制御機構を調べるために、様々なGDP濃度におけるtubulin溶液濁度測定実験を行った。微小管の重合はGDPの存在により阻害され、GDPの濃度依存的に微小管重合量が減少することが知られている。MAP200存在下ではこのGDP濃度依存的な微小管重合量の減少が軽減され、特にGDPの比率が25%以下の場合には微小管重合量の減少が起きないことを明らかした。今後、この現象を中心に詳細な解析を行い、MAP200の微小管動的不安定性制御機構を明らかにする予定である。
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