• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

高次捕食者が生物多様性維持に果たす役割の解明 ボルネオ熱帯林における検証

研究課題

研究課題/領域番号 04J05653
研究機関京都大学

研究代表者

松本 崇  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード熱帯林 / 捕食者 / アリ / 多様性 / マレーシア
研究概要

1)ヒメサスライアリの個体数推定
昨年度に引き続き、見回り法によりヒメサスライアリのコロニー推定を行った。調査地であるランビル国立公園には、1ha当たり0.63コロニーいることがわかった。
2)マイクロサテライトを用いて、ヒメサスライアリの有効交尾回数を推定した。予備的な解析の結果、有効交尾回数は20を超えていた。ほとんどのアリでは有効交尾回数は1である。ヒメサスライアリで交尾回数が非常に多い生態的要因を調べるため、コロニーサイズを移動中の個体をすべて数えることにより推定した。その結果、コロニーサイズは20000〜80000で、コロニーサイズの大きさが交尾回数の多い要因の一つであることが示唆された。
3)ヒメサスライアリの食性
ヒメサスライアリがどのアリを捕食しているかを調べるため、捕食行動を観察しビバークに運んでいるアリをその都度サンプリングすることにより、被食されているアリの種を調べた。餌として運んでいるアリはほとんどが幼虫または蛹であったため、大半の被攻撃アリは同定することができなかったが、16属63種のアリを攻撃していることがわかった。そのうち4種は女王アリも捕食されていた。
また、安定同位体分析により、ヒメサスライアリの栄養段階、および食性を推定した。その結果、他のアリに比べてヒメサスライアリの栄養段階はより上位であることがわかった。このことは、ヒメサスライアリが他のアリを捕食しているという観察結果を裏付けるものだった。さらに、主に樹上で観察されるヒメサスライアリのほうが、地中でみられる種よりも、より植食者的であり、主にリター上を歩いている種は両者の中間の値を示すことがわかった。このことは、樹上に生息しているアリは、その餌を植食者を捕食するというよりも花外密腺、カイガラムシのハニーヂューに頼っているというこれまでの知見と一致するものであった。

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi