研究課題
1)NANTEN2望遠鏡によるサブミリ波観測NANTEN2望遠鏡に、490/810GHz帯サブミリ波受信器を搭載し、試験観測を通して、サブミリ波帯における電波受信性能を検証した。これらの作業は、教員等と分担・協力して行った。私は、1.5ヶ月間チリに滞在し、望遠鏡の能率測定、光学系調整等を行い、サブミリ波観測が可能であることを確認した。その後、このサブミリ波受信器を用いた定常観測を開始し、「なんてん」によるミリ波帯での観測によって検出された巨大分子雲(GMC)に対する、中性炭素原子[CI]輝線(^3P_2-^3P_1,^3_P1-^3P_0)、及び一酸化炭素COの高励起回転輝線(J=7-6,4-3)観測行い、これらのスペクトルを検出した。大マゼラン雲における800GHz帯の中性炭素原子[CI】輝線(^3P_2-^3P_1)の検出は、初めてである。現在、共同研究者とともに、これらの結果の詳細解析と論文執筆を進めている。2)ASTE望遠鏡によるサブミリ波観測ASTE望遠鏡による^<12>CO(J=3-2)輝線観測で、昨年度までに検出した、GMC中の「クランプ」に対する、^<12>CO(J=3-2)と^<12>CO(J=1-0)との2輝線による解析に加え、同位体の^<13>CO(J=1-0)輝線も含めた3輝線による解析を行った。13個のクランプについて、分子励起計算結果(LVGモデル)との比較から温度・密度を求め、GMCの進化段階との比較を行ったところ、進化の進んだGMC中のクランプは高密度であり、進化の進んでいないGMC中のクランプは、低密度であることが明らかとなった。これは、GMCの進化が、密度の上昇という物理状態の変化として理解できることを示している。これらの結果は、ApJ Supplement Seriesに投稿中である。また、今年度は、高密度領域探査及び分子雲クランプの物理状態の解明を目的として、高密度トレーサーである、^<13>CO(J=3-2)、HCO+(J=4-3)輝線による観測を行った。現在、結果の詳細解析中だが、強度の強いHCO+(J=4-3)輝線が検出された、大マゼラン雲中のN159Wは、高密度なガス塊であると考えられる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Astrophysical Journal 643
ページ: L107-L110