研究課題
今年度も前年度と同様、予定の研究を遂行することに成功した。まず、既存の文献から蒸散データを収集することで、蒸散の季節性のモデル化に成功した。また、東京大学千葉演習林におけるスギ樹液流データから、日本の代表的な森林であるスギ林のパラメータを、世界で始めて決定し、モデルにスギ林のデータを反映することに成功した。同時に、遮断蒸発のデータも国内35試験地から収集し、モデル化に成功した。日本においてはイギリスなどと異なり、広葉樹林と針葉樹林で遮断率に系統的な違いがないことを明らかになった。さらに、前年度・今年度に英文論文として発表された成果を和文の解説にまとめて発表し、得られた成果の普及に努めた。以上のように、今年度予定していた研究計画はすべて遂行されたが、それに加えて平成19年度に予定されていた計画も遂行した。19年度から常勤の職に就く見込みとなったため、19年度の計画を若干のショートカットをしつつも前倒しして行い、研究計画当初の目的を達成した。上で作成された蒸発散推定モデルを使って、日本において針葉樹林と広葉樹林ではどちらが水を蒸発散によって消費するかを予測した。この予測の正しさを、去川・竜の口・常陸太田の水文試験地のデータによって確認した。一般に、針葉樹林は広葉樹林より水を浪費すると信じられているが、この通説が日本において誤りであることが明らかになった。
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Journal of Geophysical Research 受理
Hydrological Processes 受理
Hydrological Processes (印刷中)