今年度は以下の研究を行った。 1.様々な森林における生息環境と小型哺乳類相調査及びその成果のまとめ 既に1度調査を行っていた焼畑休閑林(1年後、5-6年後、20年後以上)、放棄ゴム園、孤立林、原生林において、さらに2回の小型哺乳類調査を記号放逐法によって行った。また各森林タイプの生息環境を調べるため、土壌水分、開空度、周囲の土地利用なども合わせて測定した。その結果、生息環境は原生林、焼畑休閑林(1年後)、その他の3つのグループに分かれたものの、小型哺乳類群集は焼畑休閑林(1年後)とその他の2つにしか分かれなかった。これらの結果やその背景などを論文としてとりまとめ、現在レビューアーからのコメントをもらって修正中である。 2.種子食昆虫の標本化 2005年3月に一斉開化が起こったため大量の成熟種子を採集・飼育し、多様な種子食昆虫を羽化させることに成功した。膨大な昆虫を整理・同定するため標本作成を精力的に行った結果、ほぼ完了した。この標本をもとに今後は種の同定作業に取り組む予定である。原生林と孤立林で共通の樹木種子を用いて、種子食昆虫群集の違いや虫害率の差などを検定できれば、人的撹乱が種子食昆虫や種子虫害率に与える影響を評価できる。
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