本研究は、昭和戦中期において、政党・政党政治家が主体的にどのような政治体制を構想し、それをどのように制度化し、そのなかでどのように機能していたかを解明することによって、新しい「政党」像を構成しようとするものである。本年度は、2つの視角、すなわち 1 昭和戦中期の政党と政府・議会との関係 2 昭和戦中期における政策過程の実態 から、研究を進めた。 1では、太平洋戦争期の主要な政事結社・衆議院会派であった翼賛政治会に注目した。また、2では、太平洋戦争期の重要な政策課題、中小商工業整備問題に取り組んだ、商工省委員(昭和17年6月設置の内閣各省委員の一つ)に注目した。 まず、国立公文書館、国立国会図書館憲政資料室などの諸機関に赴き、1・2に関連する行政文書、政治家の個人文書を収集した。また、新聞、雑誌、帝国議会議事録などから、1・2に関連する記事を収集した。 次に、それらの史料を分析し、1については、次の点を明らかにした。 (1)太平洋戦争期における翼賛政治会の議会運営のあり方 (2)(1)をめぐる諸政治集団の議論の諸相、およびその構造 また、2については、次の点を明らかにした。 (1)商工省委員の構成 (2)中小商工業整備問題における商工省委員の活動の実態 (3)(2)の政策過程の構造 1の成果については、現在、学術雑誌への投稿を準備中である。また、2の成果については、平成16年10月31日、広島史学研究会大会日本史部会において「内閣各省委員制の展開-商工省委員の活動を一例に-」として発表し、現在、学術雑誌への投稿を準備中である。
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