研究概要 |
本研究では,代表的な窒化ケイ素セラミックスの焼結助剤であるRE_2O_3-MgO-SiO_2(RE=Y, Gd, Nd and La)系の融体物性(液相線温度,粘度,表面張力,窒素溶解度および濡れ性)を精度よく測定した. Hot-Thermocouple法により測定したRE_2O_3-(45.2MgO-54.8SiO_2)擬二元系の液相線温度は,いずれの系においても希土類酸化物を添加することによって低下し,9mol%RE_2O_3組成において最も低い値を示した.また,添加する希土類のイオン半径が大きいほど液相線温度を低下させることを明らかにした.また,ルツボ回転法により測定したRE_2O_3-(45.2MgO-54.8SiO_2)系融体の粘度は,いずれの系においても希土類酸化物を添加することによって減少し,希土類のイオン半径が大きいほど小さい値を示すことを明らかにした.リング引き上げ法により測定したRE_2O_3-(45.2MgO-54.8SiO_2)系融体の表面張力は,いずれの系においても希土類酸化物を添加ずることによって上昇し,希土類のイオン半径が大きいほど大きい値を示すことを明らかにした.また,RE_2O_3-(45.2MgO-54.8SiO_2)系融体の粘度と表面張力をRE^<3+>のCationic Field Strengthで整理した結果,融体の内部と表面でその構造が異なることを述べた. 9RE_2O_3-41.1MgO-49.9SiO_2系融体中へのα-Si_3N_4の溶解反応は時間とともに進行し,6hで平衡に達した.また.本実験の条件下において,9RE_2O_3-41.1MgO-49.9SiO_2系融体中へのα-Si_3N_4の飽和溶解度は4。8〜5.8at%でありイオン半径が大きいRE^<3+>を添加した系ほど溶解度が高いことを明らかにした. 9RE_2O_3-41.1MgO-49.9SiO_2系融体の窒化ケイ素基板に対する接触角は,反応初期においてガラス試料の融体化により急激に低下した.その後,9RE_2O_3-41.1MgO-49.9SiO_2系融体の窒化ケイ素基板に対する接触角は,界面反応の進行にともなって緩やかに低下し,その反応が見かけの平衡を達成したと考えられる約45minで一定値を示した.また,その平衡接触角は7〜10°であり,いずれの系も窒化ケイ素基板に対する濡れ性が良いことを明らかにした.さらに,イオン半径の小さい希土類酸化物を含む系ほど,窒化ケイ素基板に対する濡れ性が良いことを明らかにした.
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