ランダム行列モデルは1960年代にWignerにより重い原子核のエネルギー準位を調べる為に導入された。その後、リーマンゼータ関数の零点分布等への整数論的応用や、本研究の背景となっている摂動論によらない超弦理論の定式化への応用等が知られている。RozanskyやMarinoによってザイフェルトホモロジー球面の量子G不変量に対して、M上の平坦接続の寄与に関する和としての表示が得られており、特にその可約な平坦接続に関する部分はCartan部分代数上の積分で表される。変数たちを対応する行列の固有値とみなすことで、その積分はGaussian G ensembleと呼ばれる行列モデルの行列積分であるとみなすことができる。LMO不変量をGで評価した物は量子G不変量の数論的極限と解釈できることを筆者は以前示している。このことからザイフェルトホモロジー球面に限らず、一般の有理ホモロジー3球面に対する量子不変量や、その数論的極限であるLMO不変量(をGで評価した物)を行列積分で表示したいと思うのは自然である。簡単のため、Mはframed knot S^3からKに沿ってsurgeryして得られるものとする。 Theorem 1.GをU(N)、O(2N)、Sp(N)のいずれかとしgをそのLie環とする。このとき、 ∫^<(G)>W_gZ(K)=W_gZ^<LMO>(M) LMO不変量は量子G不変量の自明接続の寄与を捉えていると予想されているので、今回得られた上記の定理は、任意の有理ホモロジー3球面に対する量子G不変量の自明接続の寄与が行列積分の形で書けること、すなわち、場の理論とは別のアプローチからの、量子不変量の非摂動的定式化を予言している。
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