研究課題
本研究は、1970年以降東アフリカからオマーンに帰還し、現在政治・経済的に高い地位を占めているにもかかわらず、オマーン研究においてその存在を等閑視されてきた「ザンジバリー」と呼ばれるアフリカ系オマーン人の総合的研究を目指している。本研究はこれまで人類学において展開されてきた民族論、エスニシティ論、ナショナリズム論をふまえ、アフリカ系オマーン人のネットワークとアイデンティティに関するデータの深化をはかるとともに、彼らのオマーン社会における位置づけを試みる。上述の目的に則し、年次前半期には、昨年度の研究成果を日本中東学会および日本人類学会にて口頭発表した。年次後半期には、昨年の調査にて収集したアラビア語文献(公立学校での宗教や歴史の教科書を含めて)の読解・分析に力を入れ、いくつかの研究会でネットワークに関する発表をした。またアフリカ系オマーン人のアイデンティティの問題を文化・社会人類学全体に位置づけるため、民族論、エスニシティ論、ナショナリズム論といった理論研究の拡充に努めながら、『アジア・アフリカ言語文化研究』や『イスラム世界』などにも投稿した。さらには前年度に投稿した学術雑誌への批評、学会などでの意見交換、および収集済みの資料などを検討してきた。こうした一連のアフリカ系オマーン人のネットワーク、アイデンティティ研究の傍ら、調査地オマーンの文化に関するエッセイなども執筆した。今後はアフリカ系オマーン人の民族誌を記述することを目指している。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
世界の食文化 第10巻 アラブ諸国--砂漠と農地と都市の恵(仮)(大塚和夫(編))(農文教) (印刷中)
イスラーム世界研究マニュアル(小杉泰, 林佳世子, 東長靖(編))(名古屋大学出版会) (印刷中)