研究課題
報告者の研究は、1970年以降東アフリカからオマーンに帰還し、現在政治・経済的に高い地位を占めているにもかかわらず、オマーン研究においてその存在を等閑視されてきた「ザンジバリー」と呼ばれるアフリカ系オマーン人を総合的に考察の対象とすることを目指している。研究の推進にあたっては、これまで人類学において展開されてきた民族論、エスニシティ論、ナショナリズム論をふまえ、アフリカ系オマーン人のネットワークとアイデンティティに関して収集してきたデータ解釈の深化をはかるとともに、彼らのオマーン社会における位置づけを通して、オマーン社会のありようを明らかにすべく努めた。報告者は育児による1年間の採用中断後、2月に研究再開をしたため、本年度は2ケ月しか研究を実施することができなった。したがって、前年度に収集した資料を検討しつつ、投稿した数本の学術論文の批評に努めた。また、研究会にも積極的に参加し、所属機関での意見交換もした。今後は、一昨年執筆した博士論文の出版のほか、さらなる研究の成果公表を進め、それによって得られた評価などを参考にアフリカ系オマーン人の研究を中核に研究の推進をはかる予定である。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)
『文化と自然そしてことば 特集:インド洋海域世界-人とモノの移動』 4号
ページ: 78-87
松本弘(編)『中東民主化ハンドブック2007』(NIHUプログラムイスラーム地域研究東京大学拠点グループ2「中東政治の構造変容」TIAS Middle East Research Series No.1)
ページ: 139-149
赤堀雅幸(編)『民衆のイスラーム-スーフィー、聖者、精霊の世界』山川出版社
ページ: 70-73