本年度は首長への質問紙調査と、教育長人事および教委制度改革の政治過程分析の2点に関する調査研究を主に行った。その概要と得られた成果は大要次の通りである。 1.2004年8〜9月に自治体首長への質問紙調査を行い、その費用の一部に補助金を用いた。知事と市・区長は悉皆、町村長は人口層化別に半数を抽出し郵送により実施した。回収率は都道府県80.9%、市町村67.3%であった。結果の概要は以下の通りである。 (1)教育委員会制度に対しては、首長は改善の必要を感じつつも、制度自体の必要性についてはおおむね肯定的な回答が多かった。廃止すべきとの意見は15%程度にとどまった。 (2)首長は教育行政について、自らの影響力をやや小さく捉える傾向があり、逆に国や都道府県の影響力を大きく捉える傾向がみられた。首長の問では教育行政が縦割り性の強い分野であるとの認識が強いことが明らかとなった。 (3)自治体規模との関連では、人口3〜10万人程度の中規模自治体では、首長の影響力が強いなど、他の自治体規模とは異なる回答の傾向がみられた。 2.中央省庁出身教育長の登用をめぐる政治過程や教委制度改革の政治過程分析については、本年度は新聞記事や議会の議事録などの資料収集を中心に行った。来年度も引き続き資料収集を行うとともに関係者への聞き取り調査を行い、成果をまとめる予定である。
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