研究概要 |
本研究の内容は大きく分けて二つある。一つは独自に行ってきた液体金属を対象とした乱流の外部磁場印加による乱流の非等方化機構に関する理論的検討をもとに乱流解析の手法であるLarge Eddy Simulation(LES)に対応した乱流モデルを構築することにある。二つ目は,構築した乱流モデルをALIP型の電磁ポンプの実機と同じ条件で数値解析を行い,機器内部に現れる流れ場の不均一性、不安定性、圧力脈動の原因を解明し、提案する交流磁場の印加方法で動作環境を最適化することにある。一つ目の目的を達成するにあたり、スペクトル法を用いたMHD一様乱流の直接数値計算により、MHD乱流におけるエネルギーの散逸過程に関する検討を行った。その議論を基に直流磁場及び交流磁場環境で液体金属に見られる電磁乱流現象の把握を可能とする新たなSGSモデルの構築を行った。モデルの検証は一様磁場を印加した一様MHD乱流で検証を行った。次に構築したモデルを電磁ポンプに適用するのであるが、それに際して、より実機に近いシミュレーションを行うため有限要素法を用いて交流磁場印加による電磁ポンプ内MHD乱流解析への適用を試みた。用いる解析手法は申請者が開発した並列有限要素法解析手法であり、乱流モデルは申請者が平成16、17年度に構築した液体金属MHD乱流に対応したLES乱流モデルである。直接数値計算を行う際、速度場のデータが数GBにも及ぶ大規模計算となるためにスーパーコンピューターの利用が不可欠である。そこで本研究においては東京大学計算機センターのSR8000を用いて解析を行った。
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