Ti(acac)Cl_3を精密集積したDPA錯体を熱分解、加水分解することで、それぞれアナターゼ型、ルチル型の酸化チタンが生成することをラマンスペクトルから確認した。ラマンスペクトルから見積もられる粒子径とTEM像から得られた粒子径は5-10nmで一致した。Ti原子数が14や30からなる酸化チタンは1nm前後の大きさになるはずである。したがって、上記のようなDPA錯体の凝集体から得られた酸化チタンは凝集しているといえる。粒子サイズのコントロールをするために基板上に錯体をキャスト方により孤立化させた。これを熱分解、加水分解をし、1nm程度の酸化チタンドットが生成していることをTEM、AFM、XPSにより確認した。 TPA-DPAのコアのトリフェニルアミンのレドックスは電気化学測定から、π共役なデンドロン骨格を通じた電子移動で長距離の電子移動に優位であることが明らかになった。このことは、TPA-DPAを色素増感太陽電池に応用した際に、酸化された色素からのホールはπ共役な電子軌道を通じてスムーズに移動することを示している。一方、酸化チタンからの逆電子移動は軌道を介さないためデンドリマーの世代が増加するに従って抑制されることと考えられる。このことは、デンドリマーの世代の増加に伴って開放電圧が向上したことと一致する。また、カルバゾール骨格からなる配位性のないデンドリマーを用いた場合は、開放電圧の向上は見られなかった。アニリンをコアにしたフェニルアゾメチンデンドリマーではTPA-DPAに比べて半径が小さいため開放電圧の向上は及ばなかった。すなわち、逆電子移動のアクセプターとなるI_3^-との配位性を有するπ共役骨格で色素の吸着した酸化チタン界面を覆い、電解質溶液と隔てることが重要であることが示された。
|