日本語のマデ句のスケール性と測量的性質について: (1)前年度、マデ句がスケール性と測量的性質をもつことを明らかにしてきたが、測量的性質について、事態の複数性という問題に着目して研究を行った。測量的性質を持つ、ということ事象を表す動詞の測量として機能する、という主張は、動詞で表される事象が複数化される、というとを予測する。しかし、いわゆる集合的解釈をその主語名詞に強制するとされる、集合述語ともマデ句が可能であることから、この予測の正当性を検証する必要があった。結論としで、先行研究による、集合述語の下位分類、つまり「真」の集合述語と見せかけの集合述語の区別を行うと、マデ句は真の集合述語とはなじまない、という特性が見られることがわかった。したがって、マデ句の測量的性質に関する主張は保持されるものと考えられる。さらに、マデ句の引き起こす特殊な解釈に関しても形式化を行った。 (2)英語のほかの副詞的数量表現との意味的類似性を明らかにした。 英語の結果構文について: 英語の結果述語と主動詞の意味関係について、自然用例(英米の小説、新聞記事)及びコーパスからデータを収集し、分析した。英語の結果構文の分類は、(1)統語的分類I(Control対Raising(ECM))(2)統語的分類II(bare XP vs.reflexive)(3)意味的分類(本来的 vs.派生的)がある。本研究の結論としては、(2)の分類法と分析には反例が多くあり、(1)と(3)に関しては、ほぼ正しい路線にあると考えられる。この結果をもとに、英語の結果構文について、マデ句に行ったような、動詞の事象を測量するというメカニズムを用いて形式化できる可能性がある。
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