本年度の研究は、主に英語の結果構文といわれる構文について、以下の二点を問題点として、それについて考察を行ってきた。(1)結果構文における形容詞・前置詞句であらわされる結果述語は、主動詞で表される事象に対してどのような機能を果たしているのか、(2)結果構文における「直接目的語の制約」の妥当性を保つことはできるか。 それぞれについて、次のような結果を得た。 (1)結果述語の機能に対しては、(1)変化事象の変化結果を明示する、(2)動詞事象の測量をする、といった案がすでに提示されている。本研究では、コーパス、実例、及びインフォーマント調査を通じて、(1)のように分析できる結果構文と(2)のように分析できる結果構文の二種類があることを明らかにした。これらは、主動詞の種類によって分類され、(1)は、主動詞がそもそも変化動詞である場合、(2)は主動詞が変化動詞ではありえない場合である。また、従来なされてきた分析よりさらにおしすすめて、(2)の場合における動詞事象の測量に対する制約、(つまり、結果述語の閉スケール性制約)は、前年度までに行った、事象の測量に対する単調性の制約から導くことができることを示した。 (2)結果構文において、結果述語が直接目的語のみを叙述する、という「直接目的語の制約」は長い間適切な一般化であると考えられてきたが、近年になって、その反例となる例を提示する研究者がでてきた。この点に関して、(1)の研究で前提となる統語構造においては、直接目的語の制約を遵守する必要がある。そこで、この制約について、インフォーマント調査を通じて分析を行った結果、反例として提示されているどのデータも、反例として考えられないことを明らかにした。
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