研究課題
種々の光機能性クロモフォアを修飾した光機能化DNAを反応場として電荷分離・電荷移動系を構築すると共に、DNAのビルディングブロックとしての性質を巧みに利用し、光機能性をデバイス表面上に集積化し光電変換デバイスとしての応用へと展開することを目的としている。光機能性分子を修飾したDNAを用い、ホール移動過程に関する研究を行うとともに、そこから得られた知見に基づき高効率光電荷分離系の構築を試みた。ホール移動の機構を詳しく調べるために、光増感剤であるナフタルイミドとホールアクセプターであるフェノチアジンを両末端に修飾したDNAを合成し、レーザー時間分解過渡吸収を用いた測定を行った。その結果、DNA内に生じたホールは、グアニン間をホッピングし、速度はグアニン間の塩基対の数に依存するとともに、脱プロトン化に起因する再配向エネルギーに大きく支配されることが示された。また光電荷分離収率の向上を目的として、光電子移動によって生じるイオン対の再結合が逆転領域の深い領域で起こると考えられるジフェニルアセチレン誘導体を修飾したDNAを用い、時間分解過渡吸収法によって電荷分離収率およびその機構に関する研究を行った。その結果、光照射によってマイクロ秒以上の寿命を持つ電荷分離状態を数十%の収率で生成し、光活性分子の酸化還元電位を制御することで高効率に電荷分離状態が生成することを明らかにした。さらにドナーとアクセプター間を架橋しているアデニン塩基に置換基を導入することで酸化電位を変え、レドックス勾配を与えることによって電荷分離収率が上昇することも明らかとなった。
すべて 2006 2005
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