作製したRalAの活性化モニターを用いることで、上皮細胞増殖因子(EGF)による活性化、及び細胞が移動する際のRalAの活性化のパターンを調べたところ、葉状仮足上において、RalAが活性化していることを初めて見出した。そのデータに加え、同時にこのプローブを用いることで、小胞上でもRalAが活性化していることがわかった。一方で、同じRalファミリーであるRalBのプローブの作製も行った。作製したRalBのプローブはRalAのプローブに比べ、若干シグナルノイズ比が良くないが、実際のイメージングには十分耐えうるものが完成した。RalBのプローブをCos7細胞内に発現させ、EGFにより刺激したところ、主たる変化はRalAのものと同じであった。このことから、EGFにおけるRal蛋白の活性化が生じる場所においては、RalAとRalBの間に差が無いことが示唆された。また、RalAのプローブの改良も同時に行い、以前のものよりシグナルノイズ比が改善されているプローブも作製することができた。Ralの活性化に寄与しているだろう分子をRNAiの手法を用い、遺伝子のノックダウンを行うことで、細胞内におけるRalの活性化経路について、新たな知見が得られた。この分子を介した経路がRal蛋白の輸送系への関与に寄与しているだろうことが示唆されるデータも得る事ができた。なお、RalAとEGF刺激における成果は、日本細胞生物学会及びアメリカで行われたFASEB Summer Research Conferenceにて報告した。さらに、この成果を論文としてまとめ、論文はMol. Biol. Cell.において、掲載された。
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