研究課題
カルボキシレーション反応の温度依存性の変化が、光合成の最適温度の変化に大きく関与する可能性が出てきた。そこで、本研究では、低温と高温で栽培したホウレンソウ葉(LT-leaf、HT-leaf)を用いて、in vivo RuBPカルボキシレーション速度の主な決定要因である、Rubisco活性化率とin vitro Rubisco kineticsについて解析を行った。光飽和・大気CO_2濃度(360μLL^<-1>)において、光合成速度とRubisco活性化率の温度依存性を測定した。LT-leaf、HT-leafともに、光合成の最適温度以上の温度において、Rubisco活性化率が減少した。一方で、低温側では、Rubisco活性化率は減少しなかった。LT-leaf、HT-leafからRubiscoを精製し(LT-Rubisco、HT-Rubisco)、Rubisco特性の温度依存性を比較した。LT-RubiscoとHT-Rubiscoにおいて、Rubiscoのカルボキシレーション反応/オキシゲネーション反応の活性比(specificity factor)と最大活性(V_<cmax>)の温度依存性は共に異なっていた。LT-Rubiscoは低温側で、HT-Rubiscoは高温側で効率良くカルボキシレーション反応を行っていた。Rubisco活性化率とRubisco kineticsを考慮に入れて見積もった光合成速度は、LT-leaf、HT-leafともに、実際に測定した光合成速度の温度依存性とよく一致した。本研究の結果から、ガス交換解析から示された、栽培温度の違いによるin vivo RuBPカルボキシレーション速度の変化は、少なくとも、Rubisco活性化率とin vitro Rubisco kineticsの変化に起因すると考えられた。
すべて 2006
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Plants, Cell and Environment (印刷中)