本年度は液晶分子やバクテリアのような単一三次元細長粒子と、分子スケールからマイクロスケールの単一ブラウン粒子について、理論解析および数値解析を行った。 理論解析では、細長物体理論と筆者等が確立した特異摂動解析手法を発展させ、任意のアスペクト比を持つ細長粒子について非線形慣性項の影響を評価するための第1段階として線形理論を確立した。 数値解析においては二次元流れ場中のブラウン粒子について渦法を用いた数値シミュレーションを行い、ブラウン力と龍体力との非線形練成がブラウン粒子の運動挙動にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。また、次年度以降、三次元球形粒子の運動挙動を数値計算する上で必要となる三次元渦法の基礎理論の構築をおこなった。すなわち、離散渦法を用いた場合、不連続性の強い三次元速度場においては、渦度場の発散がしばしば起こる。そこで、この発散する現象は渦法による数値的な問題であるのか、あるいは、流れ場そのものが発散しているのかを明らかにすることができれば、渦法による数値解法の限界を明らかにできる。このような背景から、(1)初期流れ場が球状の不連続性を持つ場合、(2)一対の渦輪の相互干渉、(3)一様流中に連続的に渦輪が放出される場合について検討した。 渦法ではタイムステップごとに計算要素が急激に増えていく。そこで、8ノードの並列計算に拡張し、MPIによる並列計算を行うことで計算時間の短縮をはかった。
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