4月から10月までフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)のオギュスタン・ベルク教授の指導を受ける機会を得、フランスの風景・景観論とマレ地区の研究を接続することに成功し、フランス語で論文にもまとめた。(タイトルはL'idee d'un paysage urbain : Perceptions et pratiques de la conservation du Marais)また、彼やパリ史の専門家であるイザベル・バクーシュ助教授のゼミで発表することによって、フランスの研究状況およびフランス語の表現と現在までの自分の研究のすりあわせを行うこともできた。パリに比較的長期間滞在できたことによって、パリ市歴史図書館、建築・都市計画資料館、国立資料館、パリ市資料館、フランス国立図書館などにおいて、短期の滞在ではアクセスが難しい資料に当たることができた。 帰国後は、東京文化財研究所で行われているフランスの文化財保護事業に関する研究会に参加し、マレ地区の政策の変遷についてまとめ、公刊した。(「パリ市マレ地区」『ヨーロッパ諸国の文化財保護制度と活用事例』)また、フランスでまとめた論文の一部を一橋大学のCOEプロジェクトによる報告書に掲載予定である。 2005年の夏ごろまでにマレ地区の戦前の状況について一橋大学先端課題研究プロジェクト「記憶と視覚表象」の報告書に発表するため、2月に追加調査を行った。 その他、パリの景観形成史から現代の都市景観について考察する論文を8月に発表した。(「都市景観をめぐる認識の変容」『一橋論叢』)
|