今年度前半は、アメリカの大学における、学位でない学歴資格(サーティフィケート)拡大の状況整理を主な作業として行った。国内外の文書資料の取り寄せ、インターネットによる情報収集、およびアメリカ教育省教育統計センターより提供されたIPEDS(統合中等後教育機関データシステム)を通じてデータセットを構築し、1970年代以降のサーティフィケート拡張の動き(とりわけ1990年代の動向)を分析した。本成果の一部は、日本教育社会学会第56回大会(「アメリカにおけるサーティフィケート・プログラムの展開-学位でない学歴資格の拡大-」)にて発表した。 今年度後半は、アメリカの大学における大学生の就学行動分析の準備を中心に研究を行った。サーティフィケート拡大をはじめとした高等教育システムの柔軟化を底支えした学生の意識・行動の変化を明らかにするため、以下の2点を中心に準備を進めた。(1)これまでアメリカ内外で明らかにされてきた、学生の行動分析についての文献レビュー、(2)学生の変化を追うことのできるパネル・データの収集。(1)については、図書館所蔵雑誌、電子ジャーナルの他に、関連文献を購入し、動向を整理した。(2)については、ウィスコンシン大学およびミシガン大学ICPSRよりデータの利用許可を得、データセットの整備を中心に作業を行った。この過程で、大規模データ整理のためのコンピュータおよびソフトウェアを購入した。
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