研究課題
1.超新星/極超新星の後期スペクトルの2次元計算による解析(1)後期(爆発後約半年経過)の2次元スペクトル計算コードを完成した。(2)極超新星SN1998bw(ガンマ線バーストGRB980425に付随)の後期スペクトル計算を行った。質量、爆発エネルギー、非球対称度の異なる約50個のモデルの各々についてスペクトルの時間発展を計算した。SN1998bwが大きい非対称をもつことを示し、親星の質量(>30太陽質量)、爆発エネルギー(>通常の10倍)の下限値を与えた。鉄等の重い元素から成る層と酸素の層の間で物質の撹拌、混入が起こっている可能性も指摘した。(3)すばる望遠鏡で極超新星SN2003jdの後期スペクトル観測を行い、酸素輝線が2つのピークに分かれていることを発見した。これは上記(2)のモデルで視線方向を変えることで説明できる。(4)極超新星SN1997efと1997dqの後期スペクトルを解析した。これらは爆発後1年ほどたっても光学的に厚い成分を持ち、他の超新星と異なる。2.超新星/極超新星爆発における元素合成と銀河化学進化への寄与の研究超新星における元素合成の計算を行い、銀河初期の化学組成を反映する超金属欠乏星の組成との比較を行った。とくに、爆発エネルギーが小さい場合にはブラックホールへの物質の降着が起こり、観測された組成と良い一致を見た。3.ガンマ線バーストGRB030329に付随した超新星SN2003dhの性質光度曲線、スペクトルの詳細な解析を行い、エネルギーの大きい極超新星であることを示した。4.エックス線フラッシュXRF030723の光度曲線の解析光度曲線の増光が付随する超新星によるものである可能性を指摘した。その超新星の爆発エネルギーが通常の超新星と同程度という結果を得た。このことから、ガンマ線バーストとエックス線フラッシュが本質的に異なる可能性を指摘した。
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