研究概要 |
1.超新星/極超新星の後期スペクトルの3次元計算による解析: (1)超新星からの輻射計算コンピュータプログラムの開発。後期スペクトル計算コードを2次元(軸対称形状のみ対応)から3次元(すべての形状に対応)に拡張。可視光光度曲線の3次元計算コード開発。X線、γ線輻射輸送の3次元計算コード開発。 (2)以上の計算コード非球対称極超新星(*)モデルに適用。超新星SN1998bwのすべての可視光観測を再現し、極超新星からの高エネルギー放射の理論予測を提出。 (*)極超新星=エネルギーの大きな超新星爆発。SN1998bwは通常の超新星エネルギーの10-20倍程度であることを上記の研究により明らかにした。 (3)すばる望遠鏡で観測したSN2003jdの後期スペクトルの解析をさらにすすめ、これがSN1998bwと同様の爆発を横方向から見たものであると結論。 2.超新星元素合成と銀河の化学進化: (1)すばる望遠鏡で発見された最も鉄含有率の少ない星(宇宙最初期に生まれた星)の元素組成と理論モデルの比較。爆発エネルギーが小さいものであると結論。 (2)中性子星と連星をなす相手の星の元素組成の理論モデル。中性子星が超新星爆発の名残であり、超新星の際に放出された酸素等の元素の一部が相手の星に降り積もったとして観測とよい一致を見た。 3.理論モデルによる個々の超新星の初期観測の再現とそれぞれの物理的特徴の決定: 超新星2003dh,2005bf等について、1次元計算と観測との比較から爆発エネルギー、爆発前の星の質量等を推定。これらは、将来より現実的な3次元計算を行う際の指標となる。
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