1.超新星/極超新星からの放射の観測と3次元計算による解析: (1)超新星からの3次元輻射計算コンピュータプログラムの基本部分の開発を終了。非球対称極超新星モデルに適用し、ガンマ線バーストを伴った超新星SN1998bwのすべての可視光観測を再現することに成功。 (2)計算プログラムの拡張を行った。それまで計算できなかった爆発後数週間目におけるスペクトル計算に成功。 (3)すばる望遠鏡による超新星観測を推進(2007年前期、筆頭研究者として観測提案採択)。Ia型超新星(白色矮星の核暴走爆発)にも大きな非対称性があることを発見した。 2.超新星元素合成と銀河の化学進化: (1)銀河初期に生まれた金属含有量の少ない大質量星を親星とする、多次元流体力学・核反応計算を行った。この結果を、金属含有量の少ない星の元素組成と比較することで、銀河初期に形成された星の正体に制限を与えた。太陽質量の20倍-40倍程度の星が銀河初期に多く爆発したモデルで、観測がよく再現できる。 (2)極超新星とガンマ線バーストの爆発機構について。ブラックホール形成モデルから予想される元素組成と超新星の特徴を議論し、観測されているガンマ線バースト・超新星の性質(明るさ等)から爆発機構に制限を与えられることを見出した。 3.X線フラッシュと超新星(XRF 060218/SN 2006aj): (1)低エネルギーのガンマ線バーストであるX線フラッシュXRF060218に付随した超新星SN2006ajの観測と解析。この超新星は、今までガンマ線バーストに付随して発見された極超新星とは異なり、比較的エネルギーの小さい超新星であると結論づけた。また、すばる望遠鏡により爆発後約1年後に観測を行い、中性子星形成の証拠となる58Niからの輝線を検出した。これらの結果から、x線フラッシュはガンマ線バーストとは爆発機構が異なることを明らかにした。
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