今年度は女性の政策決定過程のおける女性の過少代表の原因、影響についての理論構築のための基盤作りを次の3点によって行った。 第一に、他の先進国、特にこの分野で研究が進んでいるアメリカ合衆国についての文献サーベイを行うことで、日本への応用可能性を探った。特に、男女の政策的選好の違い、投票行動について焦点をあててサーベイを行った。 第二に、インタビュー、小規模のアンケートよる予備調査を行った。仕事をもつ女性、地方の女性にインタビューをすることで、彼女たちの政治に対する考え方を探り、女性の労働市場への参加、および居住地域の政治状況がどのような意識変革をもたらすかを検討した。また、労働組合へアンケートを依頼することで、産業との関係を検討した。 第三に、男女の政治意識、政党支持の違いを見るためのデータを検討した。利用可能なサーベイデータは限られており、時系列的変化を見ることは難しいため、アグリゲートデータの利用を始めた。手始めに、1960年より毎月調査されている時事通信社の政党支持調査の様々なデータの入力を始めた。これに加えて、官公庁発行の統計から社会、労働市場における男女格差、女性の社会進出を計るデータを検索し、政党支持の男女差の分析を開始した。 今年度は主に、有権者側の男女の政治に対する意識の差を検討したので、今後は政党、政策決定者側の女性政策への取り組み、態度の調査をし、女性の過少代表のメカニズムについて、有権者側と政策決定者側双方のリンクによる説明を目指す。
|