研究概要 |
符号(2,2)の不定値計量を持つ多様体上の自己双対接続、特にそのツイスター対応に関する理論について研究を行った。(この理論と調和写像の理論との類似性、および直接の関連について調べることが、研究課題のうちの重要な項目のひとつである。) この不定値計量の場合、複素構造と関連して得られるツイスター空間のみならず、複素構造と類似した別の構造(paracomplex structure)を用いても、類似したツイスター空間を構成できることを発見した。これら2つのツイスター空間は、それぞれはある文脈において既に知られているものであったが、それら2種類のツイスター空間のどちらを用いても、接続の自己双対性をある種の可積分条件に置き換えられることを証明した。 さらに、これら2種類のツイスター空間をある意味で組み合わせることにより、より深い構造をもった、新しいツイスター空間を構成することに成功した。これは全空間がコンパクトとなる、性質のよいものである。この新しいツイスター空間を用いれば、不定値版のツイスター対応が得られる、と予想しており、現在部分的には証明を得ている。この予想が実現すれば、調和写像との関連もより明確になり、二つの理論の類似性などに注目することにより、新しい結果も期待できると考えている。実際、ツイスター対応の部分的証明の中に現れる一種の「拡張解」(extended solution)は、調和写像に関するものと類似の特徴を持つものである。 以上の結果に関しては、日本数学会秋季総合分科会、東京都立大学微分幾何セミナー、慶応義塾大学幾何セミナー、東京工業大学幾何セミナーにおいて口頭発表を行った。
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