研究概要 |
本年度は1)シュツットガルト大学誘導加熱風洞における計測結果の解析,2)衝突・放射モデルの構築,3)ホロカソード型アーク風洞の開発の3つを中心に研究を行った. 1)では,シュツットガルト大学誘導加熱風洞気流における並進温度分布の時間履歴を求め,またその結果,及び熱化学平衡を仮定した数値計算を合わせて行うことで気流の比エンタルピー分布及び化学組成の時間履歴を得た.また,本結果を従来のプローブ測定結果と比較し,本研究で用いた計測手法(レーザー吸収分光法)の妥当性を示した.本研究成果はAIAA Conference(2004年6月), ARVS(2005年3月)において報告し,日本航空宇宙学会誌,AIAA Journalに投稿中である. 2)では酸素原子の衝突・放射モデルを構築し,レーザー吸収分光法及びプローブ法による結果と合わせて検証した.その結果,酸素原子準安定準位数密度は非常に高く,準静的条件が成立しないことがわかった.本研究成果は宇宙科学技術連合シンポジウム(2004年10月)で報告した. 3)では従来のコンストリクタ型アーク風洞では酸素が十分解離してない点を考慮し,中空のホロカソードを用いて酸素を供給することで酸素解離度の向上を試みた.その結果,酸素解離度は1ケタ程度向上したもののカソードの劣化が非常に激しく長時間の作動は困難であることがわかった.本研究成果は宇宙航行の力学シンポジウム(2004年12月)で報告した. 以上,本年度は上記3つの研究成果が得られた.また上記結果及び2002年以降の結果をまとめることで博士論文を作成した.
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