研究概要 |
シロイヌナズナの各種データーベースに登録されている遺伝子構造を解析し、Nonsense mediated mRNA decay (NMD)によって分解されている遺伝子(NMD標的遺伝子)の予測を試みた。The Arabidopsis Information Resource (TAIR)により予測された31002遺伝子の構造モデル、および理研アラビドプシス完全長cDNAデータ11364遺伝子を検索し、最終エキソンより上流に終始コドン(premature stop codon, PTC)が存在していることをもとに375遺伝子のNMD標的遺伝子候補を予測した。 これらの予測されたmRNAが実際にNMDの標的になっているか否か、確認するためにSALK T-DNA挿入変異体ストックからAtUPF3遺伝子内部にT-DNAが挿入され、UPF3の機能が破壊されている株atupf3-1を選抜した。このatupf3-1変異体と野生型において予測された6つのNMD標的mRNAついて蓄積量、および安定性を比較した。 その結果、atupf3-1変異体においてNMD標的mRNAは蓄積量および安定性ともに上昇していた。以上より植物においてもNMDが機能し、UPF3はその機能の一部を担っている事が示めされた。解析したNMD標的遺伝子のうち5つの遺伝子で選択的スプライシングによりPTCを持つものと持たないバリアントが生じていることを明らかにし、NMDが植物においても選択的スプライシングから生じる異常なmRNAを抑制する働きがあることが示された。 またatupf3変異体では矮小化、葉の形態異常、細胞の形態異常、維管束の未発達等の表現型が観察された。
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