研究概要 |
マグネシウムの分布について蛍光染色試薬Mag-fluo-4,AMとFluo-3,AMの染色差異として捉えた結果、マグネシウムは茎頂の中央に存在する数個の細胞に高濃度に集積し、さらに、周辺分裂組織にあたる部位にも比較的多く存在している可能性が示された。また、花成刺激物質が茎頂に到達する時間帯には中央付近での集積傾向が失われていた。これに対して光中断を施した場合には集積が見られたことから、マグネシウムの茎頂中央での集積と、茎頂における成長段階の移行(栄養成長から生殖成長へ)の関連性が示唆された(論文投稿中)。 上記のようなマグネシウムの集積が成長段階の移行において具体的にどのような役割を果たすのかについて検討を行う実験を行った。まず、Shoot Apical Meristemのマーカーとなる遺伝子を単離し、上記の中央細胞がSAMである確認を試みた。同時に、本研究では成長相特異的に茎頂で発現する遺伝子とマグネシウム集積の関連性に着目し、茎頂内の各組織で特異的に発現し、シロイヌナズナなどで機能解析が進行している5つの遺伝子をオーソログとして単離した。現在、それらの遺伝子のmRNAの安定性とマグネシウム濃度の関係についてin vivoおよびin vitroの実験系を構築し、検証している。 植物体内での無機元素移行のリアルタイム解析についても、本研究代表者所属の研究室で現在開発中のイメージングシステムを用いて、特にカルシウムについて実験を重ね、成長段階の移行と無機元素動態のクロスポイントの探索を引き続き行っていく予定である。
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