2004年度の研究では、一般相対論的な数値流体シミュレーションを行って、大質量回転星コアの重力崩壊によって中性子星及びブラックホールが形成される過程について研究を行った。 中性子星が形成される場合について、その崩壊ダイナミクスが回転星コアの角運動量および状態方程式にどのように依存するかを明らかにした。さらに重力崩壊の過程で放射される重力波波形も明らかにした。(M.Shibata & Y.Sekiguchi Phys.Rev.D69(2004)) 崩壊の結果形成される原始中性子星が非常に高速に回転している場合には、非軸対称の変形を起こす可能性があり、この場合にはより強い重力波が放射される。この場合について空間3次元の数値シミュレーションを行い、非軸対称変形が起こる条件、及びその場合に放射される重力波波形を明らかにした。(M.Shibata & Y.Sekiguchi Phys.Rev.D71(2005)) ブラックホールが形成される場合について、その形成条件、形成過程、崩壊ダイナミクスが回転星コアの質量、角運動量・角運動量分布、物質の状態方程式によってどのように変わるのかについて、詳細に調べた。この結果は現在論文にまとめて投稿中である。 また、一般論としてブラックホールが形成される条件について、崩壊前の回転星の角運動量分布を考慮に入れた詳細な解析及び数値シミュレーションを行い、ブラックホールが形成されるか否かが、従来考えられていた判定基準とは異なる条件によって決まることを明らかにした。この結果に基づき、より適用範囲の広いブラックホール形成条件を提案した。(Y.Sekiguchi and M.Shibata Phys.Rev.D70(2004))
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