研究課題
以前より開発を進めている多節スライダ・リンク機構を用いた腹部外科手術用マニピュレータを更に細径化・高機能化するため、第一に全ての基盤となる屈曲機構の再設計を行なった。具体的にはリンク機構に大幅な改良を加え、かつフレーム間の転がり接触(サイクロイド運動)を併用することで、屈曲動作拘束用のリンク節を除き、2本のリンク節の駆動のみで実現できる2自由度屈曲機構を考案した。自由度を失うことなく、また、エンドエフェクタ機能用のセンターチャンネル径はφ1mmを確保したまま、フレームの外径を従来のφ10mmからφ3.5mmにまで細径化することを可能とした。この細径屈曲機構を採用することにより、胎児外科や脳外科、血管外科等、極細の手術器具を必要とする術式においても、多自由度を有する屈曲マニピュレータの適用が可能となる。エンドエフェクタにはφ1mmのチャンネルを通して内視鏡下外科手術で頻繁に用いられる把持・剥離鉗子、体内で細部を観察するためのファイバ内視鏡、組織の切開・止血・焼灼用レーザファイバ、バルーンカテーテル等の搭載を可能にしている。エンドエフェクタ要素は状況に応じた交換や取り外しが容易であり、部分的なディスポーザブル方式を採用することもできる。成果発表としては、多節スライダ・リンク機構によるマニピュレータを用いて行った動物実験の結果をまとめ、国内、海外にてそれぞれ1件ずつ発表を行なった。また、細径のマニピュレータを内視鏡下胎児外科手術に応用するための基礎的なレーザ焼灼実験について国内にて1件発表した。現在、新しい屈曲機構の特許出願準備、そして胎児外科手術の動物実験を行うための細径マニピュレータの製作に取り掛かっている。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
第2回生活支援工学系学会連合大会(第20回ライフサポート学会大会・第4回日本生活支援工学会大会)講演予稿集
ページ: 233-234
Proceeding of the 7th International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention - MICCAI 2004 LNCS3217
ページ: 121-128
第13回日本コンピュータ外科学会大会・第14回コンピュータ支援画像診断学会大会合同論文集
ページ: 119-120