申請者は平成15年に、Gタンパク質共役型オーファン受容体の一つであるGPR23/p2y_9が新規リゾホスファチジン酸受容体LPA_4であることを同定した。LPA_4の生体内での機能、とくに、他の3種類のリゾホスファチジン酸受容体LPA_1、LPA_2、LPA_3との機能分担を解明するために、今年度(平成17年度)は下記の研究を行った。 1.LPA_4の発現分布 前年度の研究では、LPA_4mRNAの発現がマウス胎児脳(E12)で特に高く、その発現量は神経発生の進行に伴い急激に減少することがノザンブロッティングにより分かった。そこで、LPA_4のより詳細な発現分布を知るために、以下の研究を進めた。 (1)抗LPA_4ポルクローナル抗体を作製し、その抗原特異性をウェスタンブロッティングとフローサイトメーターにより確認した。 (2)上の抗体を用いてマウス胎児脳の免疫組織染色を進めている。 (3)マウス胎児脳のin situハイブリダイゼーションも同時に進めている。 2.LPA_4遺伝子欠損マウスの作製 C57BL/6由来の特殊なES細胞(新潟大学脳研究所で樹立)を使ってLPA_4遺伝子組換えES細胞を樹立した。その細胞株を使ってキメラマウスを作製し、その仔マウスにLPA_4遺伝子ヘテロ欠損マウスを確認した。 3.学会発表など 昨年6月に米国コロラド州で開催されたFASEB夏季研究会議へ出席し、LPA_4についての研究成果をポスター発表した。
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