研究課題
ゼブラフィッシュ青型視物質遺伝子(SWS2)が網膜Long Single Cone(LSC)に特異的に発現する為のゲノム上における発現制御領域を探索した。様々な長さのゲノム上流領域を蛍光タンパク質であるgreen fluorescent protein(GFP)レポーターにつないで受精卵に導入し、正負の制御領域を検討した。まず当該遺伝子がLSC特異的に発現するための制御領域が近傍の上流領域約300bp内に存在することを示唆する結果を得た。この領域を他のゼブラフィッシュ視物質遺伝子の上流に組み込んだヘテロコンストラクトを作製して同様にレポーターアッセイを行ったこところLSCに発現を誘導することができた。以上のことから、この約300bp内にLSC特異的に発現するための制御領域が存在していることを明らかにした。また、その他の上流領域にも当該遺伝子の転写活性化領域(エンハンサー)が複数存在する可能性があることを明らかにした。さらにこの過程で当該遺伝子を発現するLSCをGFPにより可視化したトランスジェニックブラックフィッシュ(TransGenic ZebraFish : TGZF)を複数樹立した。このTGZFは網膜あるいは視細胞の発生研究に非常に有用であるため、既に国内外の研究者に提供し、共同研究を開始している。次に、当該遺伝子が網膜視細胞以外の組織において発現が抑制されるための制御領域を探索したところ、網膜の双極細胞および脳の松果体光受容細胞での発現を抑制するためのシスエレメントをそれぞれ同定した。
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