(1)フィールドワークの実施:聖刻文字書体(象形文字・ヒエログリフ)で記された古典エジプト語の資料(「カデシュの戦い」の碑文)の現状を調査し、碑文の写真撮影を行った。調査実施遺跡はエジプトのカルナク神殿、ルクソール神殿、ラメセウム、アブ・シンベル神殿である。 (2)一次文献の収集・調査:「カデシュの戦い」の碑文を模写した文献を収集し、模写に誤りがないかを確認した(コレーションの実施)。アブ・シンベル神殿の碑文に関する調査は完了したが、カルナク神殿、ルクソール神殿、ラメセウムの資料については未だ作業を継続中である。 (3)二次文献の収集・調査:「カデシュの戦い」の碑文、および古典エジプト語の文法に関する二次文献の収集・調査を行った。 (4)データベース作成:フィールドワークで得た資料に、一次文献のデータを加味しつつ、碑文資料を電子化し、テキスト形式のデータベースを作成している。アブ・シンベル神殿の碑文については作業が完了したが、他の碑文については未だ作業を継続中である。 (5)文法記述:碑文の文法を記述する作業を継続中である。アブ・シンベル神殿の碑文については作業が終了した。今回の作業によって、特定の構文が段落の冒頭に位置するということがわかってきた。したがって文レヴェルの記述ではなく、ディスコースレベルでの文法記述を行っている。 (6)研究成果の公表:(1)〜(5)の成果の一部を論文としてまとめ、早稲田大学エジプト学研究所の雑誌『エジプト学研究』(第13号)に寄稿した。
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