研究課題
1 Chromatin assembly factor-1(CAF-1)の解析相同組み換え効率の上昇には相同組み換え修復の鋳型となる姉妹染色分体が存在するS-G2期を相対的に長くすることが有効であると考え、複製後のDNA鎖上にヒストンを運搬する役目を担うChromatin assembly factor1(CAF-1)の欠損株に注目した。CAF-1欠損株ではクロマチン構造の再構成の遅れに伴うDNA損傷の増加がcheckpointを活性化し、S-G2期が長くなると仮説を立てて解析を行ったところ、染色体内相同組み換え頻度が野生型の約40倍であることが示された。また、クロマチン再構築の遅れは外来遺伝子(T-DNA)の染色体DNAへの呼び込み(リクルートメント)を高め、T-DNAの挿入効率の上昇につながるのではないかと考え、野生型Agrobacteriumを用いたRoot transformationによる形質転換効率の評価を行った。その結果、CAF-1欠損株では高い形質転換効率を示した。これらの知見は、T-DNAの接近と相同組み換えの双方が関与する植物のジーンターゲッティングにおける、クロマチン構造のリモデリングの重要性を示唆するものである。2 ジーンターゲッティングモデル系の構築Acetolactate synthase(ALS)は分岐鎖アミノ酸の生合成に関与し、これを標的とする各種除草剤ならびに耐性を付与する点突然変異が多数報告されている。そこで高等植物におけるジーンターゲッティング効率の評価系として、アラビドプシスおよびイネのALS遺伝子を標的としたジーンターゲッティングによる除草剤耐性の獲得系を構築した。除草剤耐性を付与する点変異を含むが、N末を欠失しているために機能的ではないALS遺伝子をアラビドプシスおよびイネへ形質転換し、除草剤耐性個体の選抜を行った。シークエンス解析ならびにサザンプロット解析によりGTによるALS遺伝子の改変を確認した。ジーンターゲッティングによるALSの改変はアミノ酸代謝制御や新規の除草剤耐性といった新機能付与作物の作出にも有用であると考えられる。
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