MafB、c-Mafはニワトリの筋健膜線維肉腫を引き起こすレトロウイルスAS42から単離された癌原遺伝子v-mafの細胞関連遺伝子であり、大Maf転写因子群に属している。mafBノックアウトマウス、c-mafノックアウトマウスを解析することにより、生体内での大Mafの機能を解析した。 1.mafBノックアウトマウスの解析 mafBはin vitroの実験で、macrophageの分化に関わることが知られている。そこで、mafBノックアウトマウスにおいて、macrophageの分化異常がみられるか検討した。その結果、胎生14.5日目の胎児肝臓でのmacrophageマーカーであるF4/80の減少がみられ、macrophageの分化異常が示唆された。さらに、コロニーアッセイや胎児肝細胞のmacropahgeへの分化誘導などを行った結果、MafBはM-CSF由来のmacrophageに特異的に発現していることがわかり、また、mafBノックアウトマウスでは、M-CSF由来macrophageの分化異常が観察された。 2.mafB、c-maf、ダブルノックアウトマウスの解析 MafB、c-Mafはともにmacrophageに発現しており、MafB、c-Mafの両方がmacrophageで欠損すれば、単独のノックアウトマウスよりも、より重篤な異常が観察されると考えられる。 mafB+/-::c-maf+/-マウスは30週齢を越えると異常なmacrophageの増加が脾臓、リンパ節、骨髄でみられ、免疫異常をきたし、腎炎などを誘発することがわかった。 mafB-/-::c-maf-/-マウスは、胎生12.5日目で肝臓の造血異常が起こることが確認された。コロニーアッセイを行うと赤血球のコロニーが正常なことから、赤血球分化を促す肝細胞やmacrophageに異常があることが示唆される。現在、肝細胞、macrophageに着目して、機能解析を行っている。
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