MafB、c-Mafは発生に関与する転写因子である。mafBノックアウトマウス、c-mafノックアウトマウスを解析することにより、生体内での大Mafの機能を解析した。 1.mafBノックアウトマウスの解析 mafBはin vitroの実験で、macrophageの分化に関わることが知られている。そこで、mafBノックアウトマウスにおいて、macrophageの分化異常がみられるか検討した。その結果、胎生14.5日目の胎児肝臓でのmacrophageマーカーであるF4/80の減少がみられ、macrophageの分化異常が示唆された。さらに、非付着性dishを用いてmacrophageへの分化誘導を行うと、F4/80の劇的な減少が観察された。このことから、非付着状態でのみ、mafBがF4/80の発現を制御することが示唆された。また、M-CSFをもちいた胎児肝臓のコロニーアッセイでは、コロニー数の有意な増加が観察されたことから、未分化な細胞においてもmafBが機能的に働いていることがわかった。また、マイクロアレイによる、mafB-/-のmacrophageの遺伝子発現解析の結果、動脈硬化でのmacrophageのapoptosisに重要な働きをもつAIMの発現の低下が観察された。今後、mafBと動脈硬化のメカニズムについて解析していく予定である。 2.mafB、c-maf、ダブルノックアウトマウスの解析 mafB+/-::c-maf+/-マウスは30週齢を越えるとmacrophageの増加が脾臓、リンパ節、骨髄でみられた。また、免疫染色や組織解析の結果、CD138陽性の形質細胞が増加していること、さらに腎炎が発症していることがわかった。このことから、Large Mafが自己免疫疾患に関与することが示唆された。
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