HOMED-BP研究は、家庭血圧を評価基準に据えて、2つの降圧目標レベル(高値目標群、低値目標群)の比較、および、現在日本で頻用されている3系統の降圧薬(カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬)の比較を目的とした大規模介入試験である。 本研究は先行準備期間を経て、平成14年5月から本格的に開始された。平成17年12月までに4258名が登録されており、本年度もプログレス・レポートを報告した。また、本研究が開始されて間もなく5年経過することから、研究参加施設において診療録が廃棄処理される前に貴重な研究データを収集する必要があるため、平成17年度は株式会社メビックスの協力を得て研究参加施設への訪問調査を実施した。 一方、本年度は研究データベースの整備を行い、効率的な情報処理・解析方法の研究を推進した。その結果、本研究を通じて特許(第3733285号)の取得に至った大規模臨床試験の手法構築を達成した。さらに、本年度より東北大学大学院で開講されたMaster of Clinical Scienceコースにおける受講生の学生実習フィールドとして本研究を提供することで、本邦随一の研究者主導型大規模介入試験を介した実務的後継者の育成を行った。 一方、HOMED-BP研究の初期登録状況を通じて家庭血圧測定の高い有用性についての認識が巷間浸透して来たことから、大迫研究・J-HOME研究などの関連研究においても、多くの研究者と共同でHOMED-BP研究の実績を取り入れた学術論文を公表・出版した。本研究は引き続き平成18年度以降も継続され、家庭血圧に基づいた高血圧診療に関するエビデンス構築が期待される。
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