研究概要 |
1)LIT1 RNA刷り込み遺伝子の機能解析 これまでに我々は、LIT1が(1)RNAとして機能する。(2)周辺遺伝子に影響を及ぼすインプリントセンターとして働く。(3)細胞周期を通して安定にLIT1遺伝子周辺に蓄積することなどを明らかにした。そこで我々は、Fiber-FISHによるLIT1 RNAシグナルにDNA-FISHを重ねることで、LIT1 RNAと周辺領域のゲノムDNAを同時に描画し、RNA分子がクロマチン上のどの部位をカバーしているかの解析を行った。しかし、残念ながらこれまでに部位の同定には至っていない。 また、我々は種々のBWS細胞株を用いて、ヒト11P15.5領域にBWS発症に関与するmicro deletionが存在することを明らかにした。(Niemitz EL, DeBaun MR, Fallon J, Murakami K, Kugoh H, Oshimura M, Feinberg AP.「Microdeletion of LIT1 in familial Beckwith-Wiedemann syndrome.」Am J Hum Genet. 2004 Nov;75(5):844-9. Epub 2004 sep 15.)さらにRNA-FISHにより、これらのBWS細胞株および大腸がん・食道がん細胞株においてLIT1 RNAの発現異常も確認している。今後はLIT1 RNA分子の発現異常とBWS、がん発症との関わりについて解析を進める。 2)核マトリックスとゲノムDNAの特異的結合機構の解析 本研究では、刷り込み遺伝子クラスター内のMARターゲティングによりクロマチンループ構造の変化がおよぼす遺伝子発現動態を解析している。現在は、刷り込み遺伝子LIT1およびIGF2内のMARを排除するため、薬剤遺伝子で置換したターベティングベクターを構築中である。構築でき次第、MARを欠失した改変染色体を作製する。
|