研究概要 |
本研究では,環境に対して空気噴流を印加し,そのダイナミックな応答を広範囲にわたって取得することにより,広範囲の機械インピーダンス特性を測定する非接触インピーダンスイメージャについて取り扱う.本年度は前年度の成果を踏まえ以下の2点について研究を行った. 1.これまで空気ノズルとレーザー変位計で構成していた非接触インピーダンスセンサの小型化を行った.小型化に際しては,光ファイバ距離計に着目し,これを使用することで11mmという小型センサを開発することができた.また,測定原理としては,対象物に振動的に力を加えて,そのときの応答の位相差から評価を行う方法を採用した.これによって,距離計が臓器のような環境の色に対して出力が変動するという場合においても,環境の影響を受けにくいセンシング方法を実現した.さらに,このセンサを用いて人間の摘出肺を実際に測定して腫瘍を検出する実験を行った.この実験では,開発したセンサを用いて肺のインピーダンス特性の変化を位相の変化として捉え,腫瘍の存在を検出できた. 2.環境に存在する異物を推定する問題について,特に検出限界に項目を絞り,開発した小型センサの検出性能を実験的に検証した.実験では,臓器を模擬してシリコンで作成した環境にプラスティック球を埋め込んで,測定を行った.なお,実験では,プラスティック球の直径と,表面からの深さをパラメータとして変化させ,どれくらいの条件のものまで検出できるかを調べた.実験ではノズルから空気を印加しながら開発したセンサを移動させて硬さの分布を測定し,その結果,人間が直接触った場合の検出能力とほぼ同程度の結果が得られ,理想的な条件下では十分な検出性能を有していることが確認できた.
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