統合失調症感受性遺伝子を同定することを目的として、受入研究室の服巻らが属するJSSLG (Japanese schizophrenia Sib-pair Linkage Group)の研究により示された疾患と弱いながら連鎖する11カ所の染色体領域の中から、他のグループからも連鎖の報告がある5q33.1領域を選択し、関連解析を行った。まず、上記の染色体領域において、データベース検索により、40個の遺伝子を候補遺伝子とし、各々の遺伝子領域全体をカバーするように約30kbごとにSNPを選定した。これらのSNPについて、Direct Sequencing法を用い、日本人集団からなる罹患群・健常群各100検体のタイピングを行った。これまでに設定した119個のSNPのうち101個のSNPについてタイピングが終了した。その結果、罹患群と健常群の間に有意水準5%レベルでの差が認められたのは、単点での遺伝子型頻度およびアレル頻度においては、それぞれ8SNPと5SNPであった。また、ハプロタイプ解析の結果、1%および5%レベルでの有意差がそれぞれ5組および6組のハプロタイプで見つかった。これらの結果から、単点解析とハプロタイプ解析の両方で有意差が見られた3遺伝子については統合失調症との関連が示唆された。残りのSNPについてタイピングを行うのとともに、有意差が認められたSNPについては第二の日本人集団を用いて再現性の確認を行った。これらの結果がまとまり次第、論文として公表する予定である。
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