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2004 年度 実績報告書

アルカリ土類充填スクッテルダイト化合物の熱電機能開拓

研究課題

研究課題/領域番号 04J84103
研究機関広島大学

研究代表者

松岡 英一  広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード充填スクッテルダイト / 熱電変換物質 / 遷移金属化合物
研究概要

希土類充填スクッテルダイトRT_4X_<12>(R:希土類、T:Fe, Ru, Os)は、多彩な物性を示す。これまで主に、三価のRイオンの持つ4f電子が物性に及ぼす効果が研究されてきたが、Tの持つd電子の寄与は不明である。そこで本研究では、非磁性で二価のアルカリ土類金属Aを充填したAT_4Sb_<12>(A=Ca, Sr, Ba)の多結晶試料を作製し、磁性、伝導、熱物性の測定により、Feの3d、Ruの4d、Osの5d電子の寄与を比較した。
(1)AFe_4Sb_<12>(A=Ca, Sr, Ba)
上記の諸物性の測定と、^<123>Sb-NQR実験により、AFe_4Sb_<12>が強磁性に近い金属であることが分かった。また、約50K以下で10^<-3>μ_B/Fe程度の小さな残留磁化を観測した。この原因を微視的に調べるため、ミュオンスピン緩和実験を行った結果、試料中の体積分率にして高々20%のみが弱い強磁性状態にあることが分かった。不均一な弱強磁性の原因として、結晶格子の不均一歪みによる、バンド構造の変化を提案した。
(2)ARu_4Sb_<12>(A=Sr, Ba)
これらのRu化合物は反磁性を示すことから、Ruの4dバンドは磁気モーメントを持たないことが分かった。
(3)AOs_4Sb_<12>(A=Sr, Ba)
比熱測定から求めた電子比熱係数の比較によって、Osの5dバンドは、AFe_4Sb_<12>のFe-3dバンドと、ARu_4Sb_<12>のRu-4dバンドとの中間のエネルギーを持つことが分かった。一方、熱伝導率は、T=Fe, Ruの場合に観測された極大を示さない。これは、Sbの作る20面体中にあるAイオンが、複数のポテンシャル極小間をトンネリングし、音響フォノンと強く相互作用していることを示唆する。
(4)AFe_<4-x>Co_xSb_<12>(A=Sr, Ba)
AFe_4Sb_<12>のFeサイトを、3d電子の1個多いCoで置換し、磁性と熱電物性の変化を調べた。xの増加に従いフェルミ準位での状態密度が減少し、x=0の強磁性に近い状態から、x【greater than or equal】2.5では反磁性へ変化した。また、x【greater than or equal】2.5では、充填スクッテルダイトではあまり報告例のない、n型伝導を示した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Nearly Ferromagnetic Metals AFe_4Sb_<12>(A=Ca, Sr, and Ba)2005

    • 著者名/発表者名
      Eiichi Matsuoka
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 74巻・5号(印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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