研究課題/領域番号 |
05041013
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
斎藤 晨二 名古屋市立大学, 教養部, 教授 (70094373)
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研究分担者 |
デ・グラーフ トゥジェル オランダ, グローニンゲン大学・言語学部, 助教授
熊谷 君子 東京ロシア語学院, 講師
佐々木 史郎 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (70178648)
井上 紘一 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (10091414)
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キーワード | ヤク-ト馬 / 環境問題 / 生業としての狩猟 / 平地ツンドラの遊牧 / 少数民族の混住 / 伝統文化 / トナカイ飼育技術 / 越冬準備 |
研究概要 |
4月下旬に研究代表者がレナ川中流域のアルダン、ビリュイ両地区においてヤク-トの在来種の馬飼育民を訪ね、春の牧畜の実態調査を行なった。現代では、肉、毛皮の販路をいかに確保するかに主要な関心があり、民族文化の伝統保持との関連は薄く、むしろ、地下資源開発等による環境問題が先住牧畜民の間に深刻な影響を及ぼし始めていることが明らかになった。 7月初旬〜9月に研究分担者1名をイルク-ツク州カタンガ地区に派遣し、タイガにおけるエベンキ人によるトナカイ飼育の夏〜秋の生業実態調査を行なったが、小規模のトナカイ飼育がかなりよく伝統文化を保持しつつ続けられているのは、森林における狩猟が生業として、なお成り立っているところにその要因のあることが判明した。しかし、ここでは大規模な森林火災が瀕発しており、産業開発の影響、トナカイ飼育者の後継者不足などとあわせて、その将来については楽観を許さない状況にあることも明らかになりつつある。 8月初旬〜中旬には平地ツンドラにおける長距離移動をともなうトナカイ遊牧の行なわれているニジネコリムスキー地区を研究代表者と研究分担者、研究協力者が訪れ、アラゼア川流域を遊牧するグループについてその夏の生業調査とエベン、チュクチ、ユカギ-ル、ヤク-トなど複数の少数民族の混住の実態とそれぞれの伝統文化の実態を調査した。各民族の文化的独自性の主張など新たな動きのあることも解明できた。このことは、ヤク-ツクにおける英雄叙事詩オロンホの語り部が多数その実演を行なってくれたことにも表われている。 8月下旬〜10月末、研究分担者と同協力者が昨年に続いてエベノ・ブイタンタイスキー地区を訪れ、秋の山岳ツンドラにおける産業調査を行なったが、本年度は、特にトナカイの飼育技術に関する調査と越冬準備について集中的な観察を行ない、次年度に引きつづくべき課題を明らかにした。
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