研究課題/領域番号 |
05041018
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
関根 孝夫 東海大学, 文学部, 教授 (70119684)
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研究分担者 |
田尾 誠敏 東海大学, 文学部, 助手 (90216599)
金原 保夫 東海大学, 文学部, 助教授 (20161614)
禿 仁志 東海大学, 文学部, 教授 (10186009)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | ブルガリア / トラキア平野 / 考古学 / 青銅器時代 / テル遺跡 / 集落 / 住居 / カマド |
研究概要 |
本研究は、ブルガリア国ノヴァ・サゴラ市近傍に所在するデャドヴァ遺跡の発掘調査に関わるものである。デャドヴァ遺跡は、東海大学隊・ブルガリア隊・オランダ隊の三国共同の調査として発掘が進めされていた、東海大学はすでに過去11年間に亘って発掘調査を重ねている。デャドヴァ遺跡は本地域における最大のテル遺跡である。すでに最上層においては中世期の集落跡・墓地などが、その下層には古代・鉄器時代などが調査されていた。現在では、さらに下層の中期青銅器時代から初期青銅器時代の文化層へと調査が進行している。 われわれの調査の目的は、ブルガリア・トラキア地方の先史文化の究明を意図するものであるが、とくに青銅器時代文化の基本的編年を確立し、これを踏まえた先史集落の実態を把握すること、また周辺諸遺跡の分布調査を通してこの地域の先史社会の構成とその性格を明らかにすることにある。 今回の文部省科学研究費(国際学術研究)の交付を受けた1993年度〜1995年度の調査は、われわれの本遺跡での調査の通算第8次から第10次の調査に担当するものである。 1993年度の調査では、43号から88号までの23基のカマド遺構、2基の円形粘土遺構、3軒の住居跡(4号〜6号)を調査した。青銅器時代の住居遺構は泥壁により構築されたものであり、従来検出例が少なかった。ここに3軒の住居跡を検出調査したことは意義深い。3軒は東西に並列したもので、当該期の集落構造の一端をのぞかせるものであった。カマド遺構は、大小がありとくに57号、77号、62号カマドは特大であり、他のカマドとの機能的な相違が想定された。一般にカマド遺構は同位置に時期を違えて重複して構築されることが多く、それからは住居遺構の存在とその存続期間との関わりが推定され、集落構造を知る上で重要である。 1994年度の調査は、前年度に検出された3軒の住居跡を精査することを主眼とした。壁体の遺存しない住居跡は、わずかに残された柱穴列を検出することによってその規模と構造を把握するしかない。柱穴列を追求することによって、ほぼこれら住居の規模と位置関係が明確となった。さらに7号住居跡が新たに追認された。 カマド遺構の調査では、57号の下層に88号が検出された。規模は大形であり、入念な構築の構造とその遺存状況の良さは特筆されるものがあった。大形カマドについては、他に76号、89号、91号などが調査され、これら大形カマドがいずれも東西方向に列状に位置していることは、集落内での格別の機能と住居群との位置関係を保っていたことが推測された。カマド遺構は総数25基について調査した。また、円形粘土遺構としたものは、新たに6基が加わった。その規模と構造、その占地が大形カマドと関連があるように観察された。とするならば、従来不分明であった同遺構の機能・性格について重要な所見を得たことになる。 1995年度の精査では、さらに下層への調査が進められた。また、昨年度検出されていた7号住居跡が調査され、柱穴列の一部が確認された。この住居跡は本遺跡の最北端に位置し、集落の限界を画している。カマド遺構は133号までの16基を検出し、その構造調査を行っている、122号カマドでは青銅器製作の溶范が発見された。これに共伴して溶銅を入れた容器が検出された。このことは本遺跡において確実に青銅器の製作が行われたことを示しており、この時代の金属器製作の一端が明らかにされた意義は大きい、本年はより下層の銅石時代文化層との連続関係や両文化期の断絶の問題をも把握することを意図し、3ケ所に試掘坑による調査をおこない貴重な所見をえた。 3年間の調査を通して、従来明らかにしえなかった集落構造の一端が、住居跡がその他の諸遺構の検出によって明らかになってきたことは重要な成果である。住居の規模・配置、カマド遺構の規模・構造における諸相はその機能と集落内での役割についても考察しうるようになってきている。また、多量の遺物の採集は、初期青銅器時代の連続や銅石時代との関連についても予察しうるようになっている。共同調査は今後も継続が予定されており、研究が一層進展することが期待される。
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