研究分担者 |
章 瑩 新疆社会科学院, 副研究員
阿吉 努尓阿吉 新疆社会科学院, 副研究員
森川 哲雄 九州大学大学院, 比較社会文化研究科, 教授 (50101275)
細谷 良夫 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50042164)
新免 康 東京外国語大学AA研究所, 助手 (10235781)
小松 久男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30138622)
楠木 賢道 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (50234430)
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研究概要 |
今年度は,中国東北地区および内蒙古自治区に於いて,おおよそ以下の3項目を中心に調査した。 1)イスラームをはじめとする諸宗教の実態。中国に独特の,回族を中心とするイスラームの伝統はこの地域に於いても清朝から最近にいたるモスクを形成しつつ,散在している。ここ数年来の活発なモスク活動は,地元の回族住民を基盤としながら若いアホンたちの精力的な活動によって新たな展開をみていることが如実に看取された。それに対して仏教・道教は,一部の教学的活動を除くと一般民衆のなかの信者層には現世利益追究の形もみられ,施設の改修などには公の資金が投入され,一部観光施設化するなどの現象が目立ち,イスラームと際だっ対照をみせていることが注目された。回族の中の教派意識の予備的考察もおこなわれた。 2)史跡・文献の調査。モンゴル語・満洲語の歴史文献研究は,現地研究者のなかでも進められているが,日本をはじめとする世界の学界が協同して調査・研究すべき余地がなお非常に多いことがあらためて判明した。研究分担者はそれぞれの個別テーマに沿ってこれらの文献の調査にあたった。また,歴史遺跡については,広大な中国の中に於いて歴史上マジョリティを形成した集団や権力に関わるものは比較的早期から保存の努力が払われているものの,そうでないものについては,とかく放置されがちである。その中で,例えばオロンムス遺跡にたいして現地の有識者が保存にむけて活動を始めていることは高く評価されるべきであろう。 3)民族調査。東北地区・農村地区における,かつての遊牧民モンゴルの集落の生活実態や,都市における回族分布の情況,チンギス=ハーン墓廟を守る集団の意識など,貴重な調査経験を得ることができた。 中央ユーラシア社会を,生業の分布とイスラームを軸として比較検討すべく,来年度への基礎が構築された。
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