研究課題
中牧はジュルア保護区のクリナ族の村に滞在し、言語の習得につとめながら日常生活全般について調査した。とくに家族・親族の構成、村の空間的配置、連邦インディオ局(FUNAI)の医療活動などについての基礎的データをあつめた。シャーマニズムに関しては概要を知る程度にとどめた。テフェにおいては民間の祈祷師や治療師の調査をおこなった。武井はサンガブリエル・ダ・カショエイラにおいて先住民とコロノの民間治療師たちの薬草知識についての調査をおこなった。木村はアルトリオプルス保護区においてカシナワとクリナの2民族についてエクステンシブな調査を実施した。とくに儀礼歌の収録に成果をおさめた。原はタバチンガとレティシアにおいて民間薬の販売人と民間治療師の活動について調査した。とりわけ葉巻タバコ、アヤワスカ、トエをつかう治療師とクライエントの関係についてあらたな知見をえることができた。ブラジル側分担者もそれぞれ別紙の地域・民族においてシャーマニズムならびに民族薬学の調査を実施した。なお、これらのインディオ諸族の調査のほかに、日本側研究分担者の4人は、ブラジル側分担者と短期間、アンジラ川のサテレマウエ族と予備的な接触をすることができた。その結果、かれらの最大関心事項のひとつが医療問題の改善であることがわかった。そこでかれらの世界観と民族医療、保健的慣習についての文化人類学的調査、ならびに薬草についての民族薬学的調査を次年度以降おこなうことに決めた。この地域の開発と環境の問題に関しては、とくに人文系の研究の世界的な立ちおくれがめだっている。今回のアマゾン調査は日本の文化人類学者による久しぶりの現地調査であり、変容するインディオ社会の貴重なデータ収集をおこない、来年度以降の調査にそなえることができた。
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