研究課題/領域番号 |
05041028
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北村 光二 弘前大学, 人文学部, 教授 (20161490)
|
研究分担者 |
ワンディバ シミュ ナイロビ大学, アフリカ研究所, 所長
作道 信介 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50187077)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (60191938)
|
キーワード | トゥルカナ / 牧畜民 / 近代化 / 開発援助 / 難民キャンプ / マーケット / 学校教育 / ライフ・コース |
研究概要 |
トゥルカナ社会における「近代化」へと向かう動きとして、とくに以前から顕在化している持続的な変化と考えられるものは、次の三つである。1)家畜の換金化:生計において、家畜の換金化の比重が高まることは、長期的な生計維持戦略に変更をもたらすことになり、後戻りできない変化になる可能性が高い。2)援助への依存:1981年の旱魃以来、NGOを中心に断続的に行われてきた援助により、トゥルカナ族は少なくとも飢えることからは解放されている。この生活上の変化は先の「家畜の換金化」と相乗的に結びつき、現金生活への傾斜を高める。3)教育制度への組み込み:同じく旱魃を契機に就学児童が増加し、結果として教育制度への組み込みが行われた。 1992年秋開設された国連難民キャンプがカクマ地域に及ぼした影響については、雇用機会の増大と新マーケットの形成があげられる。1)雇用機会の増大:難民キャンプでは相当数のトゥルカナ族の青年が働いており、彼らの得るサラリーはこの地域では突出して高い。これは、たんに経済的な問題にとどまらず、雇用という生業形態への社会化をすすめる契機となっている。2)新マーケットの形成:キャンプ開設直後から難民との間で、家畜や自家製酒などをめぐる交換・売買が始まっていたが、昨年度からカクマの町に新市場が形成され、他の地方から移動してきた商人も加わって商業活動が一気に拡大し活況を呈している。従来トゥルカナの人々には無縁のものであった洋装品、小型電化製品などを扱う商店があり、都市的な生活文化の流入という側面からも大きな変化がもたらされている。このような長期的・短期的変化によって、伝統的なトゥルカナ族のライフ・コースにも変化のきざしがみられる。これらの層のライフ・コース設定という問題を明らかにするために、データの蓄積をはかっている。
|