研究課題
本研究における今年度の課題は、パリ大都市圏の近郊地帯において、どのような地域変容プロセスが展開しつつあるかを解明することであった。この目的を達成するために、多様な側面が観察できるエブリー・ニュータウン地区とその周辺地域を重点調査地域とした。エブリー・ニュータウンについてインテンシブな調査を実施した結果、ニュータウン内部の地域構造、とくに住民の社会特性、人口特性、行動特性などについて、集合的な統計数値からは明確にあらわれないニュータウンの地域特性を把握することができた。その結果については、平成7年日本地理学会春季学術大会の一般研究発表で公表する予定であるとともに、すでにその一部を筑波大学の研究紀要で発表した。また、エブリー・ニュータウン地区と比較するために、パリ大都市圏における他の4つのニュータウンについて調査を実施した。さらに、ロンドン大都市圏、ルール大都市圏についてもイクステンシブな調査を実施した。これらの調査を通じて、人口特性・土地利用・就業構造・居住形態などの側面からみたヨーロッパの大都市圏地域における近郊地帯の構造プロセスを、日本との対比において把握することができた。フランス側の研究者が来日して、日本の3大都市圏を調査したさいに、これらの点について議論を深めることができた。平成7年度の冬には、これらの研究成果をふまえて日仏の研究者による国際シンポジウムを開催する予定である。
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