研究課題
中国では、中国社会科学院、北京大学、上海社会科学院、中華全国婦女連合会等を訪問し、北京・上海などの大都市と周辺の小都市、それを取り巻く農村部という地域差を考慮に入れつつ、社会経済発展の担い手としての女性の役割について調査を行った。韓国では、徳成女子大学校社会学科、梨花女子大学校女性学研究所、韓国女性開発院女性学センター等を訪問し、社会政策の内容がどのような側面で男性に有利に形成されているのか、あるいは、女性に有利に形成されているかについて、政策決定過程、法体系の構造、社会習慣等の要因を考慮しつつ調査を行った。オーストラリアでは、シドニー大学、モナシュ大学、メルボルン大学、オーストラリア国立大学、女性の地位担当局等を訪問し、女性のジェンダー形成システムの分析を行い、女性学プログラムや女性の参画との関連を明らかにした。ニュージーランドでは、女性政務省、教育省、カンタベリ-大学、ビクトリア大学、クライストチャーチ・ポリテリニック等を訪問し、ニュージーランドにおける女性学教育の理論と実践について分析考察した。また、1993年はニュージーランド女性参政権獲得100周年にあたるため、歴史研究者の会議や政府主催の行事に参加するとともに、現代の女性政策につながる歴史的考察も行った。全般において当初に計画した研究目的及び研究計画は十分に遂行された。現地調査先である大学・学術研究機関、官公庁、民間団体等の関係者の大部分は極めて協力的であり、日本の文部省が女性学に関するこのような研究チームをアジア及び太平洋地域に派遣していることを高く評価していた。さらに、日本における合同研究討議では、女性の社会参加のためのエンパワーメントの手段として、女性学教育が非常に有効であることが各種の事例によって実証された。
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